さて今回は、
計算スピードを加速して、速く問題をとくための方法
についてお話をしていきたいと思います。
前回の記事
の中では、計算問題を正確に解くために
4STEPの計算プロセスを考えました。
そしてそれぞれのSTEPにおける正確性を高めることで、
全体的な正解力をあげていくという話をしました。
実は、今回お話するの計算スピードに関しても
その考え方は同じなんです。
つまり、
計算における4つのSTEPそれぞれをスピードアップさせることで、
全体的な計算スピードを速くするという方法になります。
まずは計算スピードを計測しよう!
今回はその流れに入る前に、
まずは自分の計算スピードを一度計測してみましょう。
計測の方法は、
今学校で学習している計算問題を3問ピックアップして、
それを解いた時間を記録しておくというものです。
具体的な手順を説明すると、
1.計算問題を適当に3問ピックアップ。
2.それをノートに書き写す。
3.これを全部で3セット作る。
4.それらを1セットずつ、解いて時間を計る。
という感じです。
3問ピックアップを3セット作りますが、
1セット解いて時間を計ったら一旦休憩し、
それからまた次のセットを解くようにします。
各セットごとに、解くのにかかった時間を記録しておきます。
問題の横にでも書き込んでおけばいいでしょう。
さて、3セットそれぞれの計算時間が記録できたら、
今度はそれの平均値を出しておきます。
1セット目: 1分35秒
2セット目: 2分06秒
3セット目: 1分28秒
とかの人であれば、
平均タイム: 1分43秒
となりますね。
このタイムが、現在の自分の計算スピードだと
思っておいてください。
なおこの3問(3セット)については、また後で使用しますので、
問題を解くときは別のノートを使用し、
そこに直接書き込まないようにてください。
計算スピードアップの本質は【塵も積もれば山となる】
自分の計算スピードが計測できたら、
いよいよ計算スピードをアップさせる手順に入っていくわけですが、
その説明をする前に、大前提となるお話を少ししておきます。
計算スピードを上げるために心がけて欲しいのは、
【塵も積もれば山となる】
という考え方です。
数学のテスト中には、たくさんの計算をしなければなりません。
計算単独の問題だけではなく、文章題や関数の問題、図形の問題の中でも
計算は登場します。
それら全ての計算にかかる時間を、
それぞれ仮に1秒ずつ縮めることができたとしましょう。
テストの中に全部で30問あるのであれば、
それだけで30秒は確保できますね?
仮に2秒短縮できれば60秒、すはわち1分の時間を確保できることになります。
その時間があれば、答えの書き写しが無いかどうかの見直しくらいなら
できてしまいます。
たった1秒、2秒縮めるだけでも、それだけの余裕が生まれるのです。
まさに【塵も積もれば山となる】。
この1秒、2秒を丁寧に積み上げることがとても大事。
まずその点を意識しておいてください。
ではここからは、問題を解くSTEPごとに
計算スピードを上げる方法について解説をしていきます。
STEP1:問題を見て必要な解き方・公式を見極める
最初のSTEPのところは、まだ問題を解き始める前の段階です。
ここでは、問題を見てから解き始めるまでのスピードアップを目指します。
つまり、計算問題を見たときに、
「えっと、これってどう解くんだったかな・・・」
と考えている時間を出来る限り短縮するということです。
問題を見た瞬間にパッと解き方や公式が思い浮かぶというのがベストですね。
そうなれるためにはもちろんある程度の練習も必要なのですが、
それ以前に、しっかりと学校の授業を聞いておくことが大切になります。
授業中に解き方や公式を覚えてしまうくらいのつもりがいいですね。
そうすればここでのスピードは、
それほど意識することなく速くなれると思います。
STEP2:解き方や公式にあてはめる。
解き方や公式が思い浮かんだら、すぐに解き始めます。
ここで注意して欲しいのは、
「書き写し間違い」
です。
その場に途中式を書いて解いていくのではなければ、
一度計算式を別の部分に書き写してから計算し始めると思います。
そうするときにあせっていると問題を書き写し間違うことが
あるのです。
最初で間違えていればあとの計算で答えが合うはずもありませんよね。
そもそもなぜそんなことが起こるのか?
これは頭の中で
2つ以上の行為を同時に進行しようとしているからです。
この場合で言えば、
1.計算式を書き写す。
2.解き方や公式をイメージする。
という行為がそれにあたります。
計算式を書き写している途中に、解き方や公式を考えていると、
無意識に書き写しが発生してしまいます。
例えば、
「移行する時はマイナスにすることを忘れないように・・・」
とイメージしながら式を書き写すと、
元の式のプラスのところをマイナスで書いてしまったりするのです。
冷静になってあとで見直すと、
「え、なんでこんなことしてるの??」
ってなってしまうのですが、
必死で速く解こうと思っている途中では、そのことに気づけないんですね。
ですからここでは、まず書き写すことだけに集中するようにしてください。
そして、、書き写しができたら、その式を正しく書き写せているかどうか
一度チラっと見直しをしてください。
見直しと言っても1秒もかからないはず。
このわずかな時間を使うか、使わないかで大きく違ってきます。
STEP3:実際に計算をする。
さて、式が書き写せたらいよいよ実際の計算に入ります。
ここでどれだけ時間を短縮できるかが、スピードアップのカギですね。
解き方や公式がわかっているということであれば、
あとは基礎計算のスピードが重要になります。
前回の記事でも話をしましたが、
足し算、引き算、掛け算、割り算
これらの計算スピード次第ということになります。
これらのスピードアップのために必要なのは日々のトレーニングです。
計算を「正確に解く力」(=正解力)は一度身に着けると
そこまで衰えることはありませんが、
計算を「速く解く力」(=速解力)は、トレーニングを怠ると
一気に衰えてしまいます。
逆に言うと、速解力はトレーニング次第で鍛えられるというわけです。
計算の速解力を鍛えるというのは、
身体を鍛えるために筋トレをするようなものです。
少しずつでも、日々継続してやり続けることで効果が出てきます。
ですから1日に沢山の計算問題を解いてもそれほど効果はありません。
毎日5分や10分をそのトレーニングにあてることで
計算のスピードは劇的に変わります。
ちなみに、お手軽に速解力トレーニングができるのは
「100マス計算」
です。
やってみればわかりますが、
やり続ければどんどん時間が短縮されます。
ある程度のところまで短縮されたら、
そこから更に短縮していくのは難しくなりますが、
トレーニングを継続することで、
そのスピードも継続させることができます。
トレーニングをやめてしまうと、また元通りです。
また100マス計算をやることで、
自分の計算の弱点を見つけることができます。
例えば、
「足し算は速くできるけど、引き算は時間がかかるなぁ・・・」
「こういう割り算はちょっと止まってしまうなぁ・・・」
とかです。
そういう弱点が見つかれば、そこを意識して強化することもできますね。
中学生にもなって100マスって・・・と思う人もいるかと思いますが、
だからこそそれをやる子だけが力をつけることができるのです。
「じゃあ、どうやって100マス計算の問題を準備したらいいの?」
と言う人もいると思いますので、以下にオススメサイトを紹介しておきます。
■怪盗ねこぴー | 100マスもんだい
http://www.nekopy.com/studys/masu100/index.html
こちらはネット上で100マス問題を解くことができ、
さらに解いた時間も自動で測ってくれます。
なんとなく楽しくやれるのでオススメですね。
■エクセルで百マス計算
http://www1.iwate-ed.jp/tantou/joho/material/100masu/index.html
こちらは自宅のパソコンにダウンロードして使うものになります。
マイクロソフトのエクセルを使ったテスト問題が出力できますので、
計算を紙でやりたいという人にオススメ。
STEP4 解答を解答欄に書き込む。
テスト本番であれば、
計算が終わったらその解答を解答欄に書き込む必要があるかと思います。
実はこの書き込むスピードもとても大事なポイントになります。
サッと書き込む子もいれば、ゆっくり丁寧に書き込む子もます。
自分は書くのがゆっくりな方だ、と自覚がある人は、
日ごろから少し速く書く練習をしておいた方がいいでしょう。
人に読めないような字で書き込むことはもちろんNGですが、
決して丁寧な字で書き込む必要はないわけです。
時間をかけ過ぎることによるデメリットをよく考えなければなりません。
毎回テストで時間が足りないという中学1年生の女の子がいたのですが、
彼女はすごく理解力もあって、塾での問題正答率も高かったんです。
ただ、書くスピードが本当にゆっくりな子でした。
学校の授業でもノートを写す時間が間に合わないので、
毎回友達のノートを写させてもらってました。
もちろんそのノートを写すのにも相当の時間をかけていたんですが(笑)
その子には、紙版の100マス計算を毎日やって、時間も記録してもらいました。
最初はなかなか時間が短縮されなかったのですが、
徐々に速く解けるようになってきて、しばらくやってるうちに、
「速く書けるって楽しいんですね。」
って言ってくれるようになりました。
楽しいかどうかはわかりませんが(笑)、速く書けるってことは大切ですね。
以上、計算における各STEPごとのスピードを速める勉強方法について
お話をしてきました。
まとめておくと、
STEP1:問題を見て必要な解き方・公式を見極める
・問題を見た瞬間にパッと解き方や公式が思い浮かぶように練習。
・学校の授業中に解き方や公式を覚えてしまう。
STEP2:解き方や公式にあてはめる。
・最初の式の書き写しが無いように注意!
・チラッと見直しして間違いがないかを確認する。
STEP3:実際に計算をする。
・基礎計算のスピードアップがカギ!
・100マス計算でのトレーニングがオススメ!
STEP4 解答を解答欄に書き込む。
・速く書き込む意識を持つこと。
・読めない字はNGだが、丁寧である必要はない。
という内容でした。
それぞれのSTEPでスピードアップできる時間はわずかかも知れませんが、
その積み重ねで、全体的なスピードがアップされるわけです。
ある程度練習が進んだら、
最初にやった計算スピード測定をもう一度やってみましょう。
同じ問題の解きなおしですから、
実際にスピードがアップしたかどうかを判断しやすいはずです。
ぜひ今回の記事を参考に、計算を速く解く力(=速解力)を鍛えていってください。